入院2日目(手術当日〜術後)
2016年4月
6時くらいに目が覚めた。熟眠感はあり。
7時から絶飲食なので、それまでにOS-1を飲めるだけ飲んだ。
朝イチで呼び出し手術だったので、8時に夫が病院に来てくれた。
9時ちょっと前に呼び出しがあって、手術着に着替えて弾性ストッキングや紙キャップを身につけて出棟。
病室から手術室まではストレッチャーで移動した。病棟をエレベーターで出発するとき、夫とハイタッチしたらちょっと涙ぐんでしまった。大した手術でもないのにね。
ガラガラと手術室フロアを運ばれていく。
頭上の方で「ウィーーン」と次々自動ドアが開いていくのがちょっとかっこいい。
この後に及んで「今から手術」っていう実感があまりなかった。
手術室に到着し、ドラマでよく見る丸いライトがいっぱいついた天井を眺めながら、手術台にせーので移される。血圧計やらモニターやらテキパキと装着されていく。
左腕で血管確保しようとしていた看護師さんが、諦めて左手の甲の血管を探し始めたときはちょっとしょんぼりした(痛いから)。
看護師「じゃーこれから麻酔のためのお薬を流すので、マスクしますねー」
鼻と口を覆うマスクをかぽっと被される。ガスが流れてくる。
私「(くさっ)ゲホッゲホッ」
看護師「ちょっとせきこんじゃいますよねー、ゆっくり息してくださいねー」
極力咳き込まないよう、ゆーっくりガスを吸っていたら…… そのうちに意識消失したらしい。
気がつくと明るい天井。回復室だったか婦人科病棟だったかは憶えてない。
看護師さんたちに「アラサーグマさん軽いですねえ、一人でも移乗できるわ」と言われた気がするけど多分夢だと思う。
病室の天井くらいから記憶スタート。視界の左下からひょっこり夫の顔がのぞく。
私「ただいまー(とか言ったと思う)」
夫「すぐ終わったね」
私「すぐ終わったの? 何分くらい?」
夫「15分くらいだった、エレベーターで見送りして、廊下のベンチでちょっと携帯いじって、外行こうかなと思ったらもう先生が来て筋腫見せてくれた」
筋腫見せられちゃったのか。なんかごめん。
すでに挿管は外れていたけど、足にはポンプがついてて、尿道カテーテル入ってて、左手(手甲。痛い)には点滴入ってて、顔には酸素のマスクついてて、眠いのとだるいのでずっとウトウトしてた。
たまに看護師さんが見にきてくれた。
看護師「失礼しまーす。アラサーグマさんどうですか? つらいところありますか?」
私「マスク苦しいんですけど外していいですか?」
看護師「マスクはもうちょっとつけてないとダメですねえ。呼吸が安定したらですね」
※このあとこっそり外してみたけど、ふーっと眠りに落ちる寸前に「あっ、私呼吸してない」と思って、あわてて再着用した。
数十分後。
看護師「失礼しまーす」
私「まくら……まくらしてもいいですか……?」
看護師「まくらはまだダメですねえ。呼吸が(以下略)」
数十分後。
看護師「失礼しまーす」
私「のど……のどが渇いたんですけど……」
看護師「お水飲むのは呼吸が(略)ですけど、うがいだったらいいですよ。お水持ってきましょうか?」
私「お願いします……!」
まくらはその後、ベテランっぽい看護師さんが「バスタオルなら」ということで頭の下に入れてくれた。
様子見に来るたびに訴えの多い患者で、看護師さんからしたらめんどくさかったと思う。お世話になりました。
のどが渇いたのは2回くらいうがいしたら楽になった(点滴しているので水分自体は足りている)。
手術終了から2時間くらいして、飲水OKが出た。
フラフラするけど立ってみて、看護師さんと一緒にトイレに行った。意外にちゃんと歩けた。痛みはほぼ(10段階でいえば1くらい)ナシ。
「トイレ歩行OKだったので、病棟のなかは歩いていいですよ〜」とのことで、体を起こして歩いたりしてみた。
……が、眠いというのか疲れたというのか、つねにベッドに体が吸い寄せられている感じで、持ってきた本も読めなくて、結局夜までずっとゴロゴロしていた。
夕方、夫と一緒に売店に行って猫雑誌を買ったが、文字を目で追おうとすると疲れてしまって、ずっと写真だけ眺めていた。猫かわいい。
夕飯はおかゆだった。おかずは普通。煮魚が美味しかった。
点滴も500mlを2本で終了、針を抜いてもらった。I'm free!
入院1日目(手術前日)
2016年4月中旬
シャワーを浴びて、午前10時に病院へ。
3月4月の生理が来てなかったので、念のため病棟に行く前に婦人科外来に寄る。
術前説明のときの先生(この人が主治医になった)がエコーで見てくれて、「手術OK!」をもらって病棟へ。
婦人科と産科が分かれていない病棟なので、新生児室やら授乳室やらがあった。
入院したのは6人部屋。私が入院した時点で4つベッドが埋まってた。みんなカーテンを閉めていたから、他の患者さんとは退院まで一回も顔を合わせなかった。
担当の看護師さんから「いろいろ説明があるので、その前にパジャマに着替えてくださいねー」と言われる。
ずっと寝ているわけじゃないのにパジャマで過ごすのか……と、ちょっとモニョっとする。着替えると、なんだか一気に患者になった気がした。
入院中の生活の仕方などの説明を受けて、昼食をいただき、あとはベッドでゴロゴロする。
夕方4時くらいに「ラミケン」で子宮口を広げる処置をした。
医師「痛いですか?」
私「痛くないです。これから痛くなるんですか?」
医師「徐々に広がってくるから、痛くなるかもね」
抗菌薬と鎮痛剤を1錠ずつもらって病室へ。
ちょっとして看護師さんが来たので、
私「これから痛くなるんですかね?」
と聞いてみたら、
看護師「今痛くないんだったら大丈夫だと思います〜」
とのこと。(どっちやねん)
実際痛くなかったので鎮痛剤は飲まなかった。
夜9時から絶食になったので、OS-1をちびちび1本飲んで、歯磨きしてさっさと寝た。
※OS-1は病棟でもらうわけじゃなく、「売店で買ってきてください」だったので、自宅にある緊急用のOS-1(500ml)を2本持参した。
術前検査と術前説明
2016年3月末
子宮鏡手術を受けた1週間後、術前検査へ。
これは「子宮筋腫の検査」ではなく、「手術に耐えられる体かどうかの検査」です。
・心電図(ものの30秒くらい)
・呼吸機能検査(筒をくわえて息を思いっきり吐くやつ)
・採血検査(スピッツ5本くらい)
・尿検査(直前にうっかりトイレに行かないように気をつけて)
あとレントゲンがあったかどうかはちょっと忘れた。
全部合わせて1時間くらい。待ちもせず、本当にすぐ終わった。
2016年4月上旬
入院1週間前。
「家族と一緒に来てくださいね」と言われていたので、夫と一緒に病院へ。
まず、私ひとりで麻酔科に行って問診を受けて、麻酔同意書にサインする。
麻酔科医「手術の前に点滴で麻酔を入れます」
わたし「病室で入れてから移動ですか? それとも手術室で点滴するんですか?」
麻酔科医「手術室で入れます」
わたし「点滴だけで全身麻酔ですか? 挿管するんですか?」
麻酔科医「もちろん、挿管します。……なにか麻酔方法に希望ありますか?」
わたし「いえ、ないです(ただの興味……)」
それから看護師さんに「麻酔から覚めるとき気持ち悪くなるって聞いたので、それが心配です」と訴えたら、看護師さんが「ですってー、先生!」と言ってくれ、気持ち悪くならないタイプの麻酔薬を使ってもらうことになった。
婦人科外来で夫と合流。
いつもの先生かと思ったら、ちょっとえらい先生だった。
MRIを見せてもらった。輪切りになってるのと、縦方向にスパッと切ってあるの。
(輪切り=横断面、縦にスパッと=矢状面 というそうです)
縦スパの画像だと、子宮の中に筋腫が「在!」って感じでしっかりあるのがわかる。
夫も隣で「あるねー」って言ってた。
先生「大きさは、1.3cmくらいです」
私(初診のときより一回り小さくなってる)
あとはだいたい、前回の検査結果説明のときと同じことを言われた。
先生「なにか質問ありますか?」
私「筋腫は2つあるって聞いたんですけど、もう1つのはどうなってますか?」
先生「もう一つのは子宮の筋層の中に埋まってるから、削りすぎると子宮に穴が開いちゃうから、様子見て削れるところまで削る感じだね」
私「わかりました。あと、手術で仕事休むので、診断書ください」
先生「2泊3日で退院、翌日から就業可能って書いとけばいいかな?」
即日職場復帰することになった。(できると思ってた。このときまでは……)
さ、あと一週間だ。
子宮鏡検査の結果と手術日決定
2016年3月下旬
子宮鏡検査中の、「TCR無理ですねえ」という医師同士の話し合いでちょっと気落ちし、
「腹腔鏡か開腹手術かなあ、開腹手術だったらお腹に傷が残るなあ、それに助産院での出産(ちょっと憧れてた)は無理になるなあ」と考えたものの、
「でも、潔く開腹手術してもらったほうが簡単だし、出産のときは同じ病院で、はじめから帝王切開って決まってた方が気がラクかも!」と切り替えて、待つこと2週間。
検査結果の日には夫(入籍した)と実家の母(新幹線の距離)が来てくれました。
正直、大した病気でもないのに大所帯で申し訳ない。
診察室に呼ばれてぞろぞろと3人で入る。
先生「まず、子宮がん検査の結果ですが……、どっちも陰性でした。」
私「よかったです〜(ホッ)」
先生「本題の子宮筋腫ですが、これは手術した方がいいと思います。まだ若いしお子さんもほしいでしょ? 子宮の内側に筋腫があると、着床する面積が少なくなるので、このままだと妊娠しにくくなるんです。
筋腫は、子宮鏡手術という方法で取ります。手術といっても、膣の方から器具を入れて筋腫を削るので、30分くらいの簡単なものです。手術の前日入院して、翌日か翌々日退院なので、ま、2泊3日だと思っていてください」
私「(えっ。子宮鏡手術できるんだ)は、はい」
先生「手術、来月のこの日でどうですか?(カレンダーを指差す)」
ら、来月? 緊急じゃない(生命にかかわらない)手術だから、数ヶ月先延ばしになるのかと思ってた。でも、早くやってもらえるならそれに越したことはない。
私「はい、そこでお願いします」
先生「じゃ、このあと入院予約とって、術前検査受けて帰ってね」
私「あ、今日忙しいんで術前検査今度でもいいですか?」
先生「すぐ終わる検査だけど……忙しいなら来週でもいいですよ」
というわけで、あんまり実感のないまま入院予約をとってこの日は終了。
追記(ちなみに)
婦人科クリニックAから紹介を受けて受診したこの大学病院Bは、
実はわりと婦人科で評判のいい&子宮鏡手術で有名な病院だった。
特に、このあと主治医になるエラい先生のチームは人気で、そのチームに手術をしてもらいたい!という問い合わせは結構多いらしい(病棟の看護師さん談)。
手術が決まったとき、医療関係の知人たちが
「アラサーグマちゃんのことだから、病院は色々調べて選んで決めたと思うけど、必要だったら力になるからいつでも相談してね」と言ってくれたのだが、
そこで初めて、世間には
・病院や執刀医は選んで決めるもの
という風潮があることを知った。
(近所だし通いやすいからいっか! くらいのテンションで決めた)
たまたま近所に有名な病院があって受診できたのは、本当に運がいいというか、のんきというか。
MRI検査と子宮鏡検査
2016年3月上旬
朝イチで大学病院Bへ。
「MRIって、ドンドンドンドンガンガンガンガンってうるさいやつでしょ?」
と思いながら受けたら、そんなにドンドンガンガンはしなかった。
しかし、ベルトで体を固定されているにもかかわらず、うっかり寝落ちしてしまったらしく、部分的に撮り直しになったので20分以上はかかった。
ま、その程度にはリラックスして検査に臨めたということで。
続いて婦人科に移動して子宮鏡検査。
先日の先生かと思ったら、若い(研修医?)女性ドクターだった。
検査のときには指導医らしきベテラン先生もついていた。
子宮鏡検査自体は痛くない。
けど、ついでにということで子宮体がん検査をしたら、これがちょっと痛かった。
しかも研修医先生の後ろで、ベテラン先生が「そこの組織…… 狙って採って……」とか指示してる。カーテンのこっち側で、(えっ、組織ってなに? 異型細胞ってこと?)とドキッとした。
あと、研修医先生とベテラン先生が、「これは……TCR(=trans cervical resection 子宮鏡手術のこと。)無理ですね……」とか話し合っちゃってるのが聞こえる。
もー、そういう秘密の話は患者に聞こえないところでしてよー!
って思った。
診察室に戻ると、研修医先生が「今撮った写真見ます?」と、画像を見せてくれた。
確かにポコっと丸い山みたいなのが生えてる。
「場所でいうと、子宮のおなか側の壁にありますねえ。今見えているのが1.5cmで、その隣に1cmくらいのがくっついてます。どうやって手術するかは、担当の医師から今度説明しますね」
とのことだった。
検査結果は2週間後。
大学病院B
2016年2月
クリニックで「子宮筋腫」の診断と紹介状を受け取った私は、
翌朝さっそく紹介先の大学病院Bに行ってきた。
ノンアポで行ったので4時間ほど待ちました。
名前を呼ばれて診察室に行くと、若い先生(と思ったが、後から病院のサイトで見たら講師クラスの先生だった)が座っていた。
てっきりちゃんとした検査をするんだと思っていたら、
先生「今日まだ出血してるんでしょ? 生理が終わった直後の、子宮粘膜が薄くなって、血液がない状態じゃないと検査できないんだよね」
とのこと。
(えーっ、4時間も待ったのにまた来るの?)
私「生理不順で、来月いつ生理くるかわかんないんですけど」
先生「今回の生理は1月下旬から始まってるんだよね? じゃ、2月末には来ると仮定して、3月上旬に検査の予約入れましょう。検査直前まで生理がずれ込んだら、電話ください」
そして3月上旬に、
・MRI検査
・子宮鏡検査
の予約を入れて帰宅。
家に帰って彼氏の仕事(結婚式のDVD作成)を手伝っていたら、
(私、自分が病気だってときに、なんで他人様のお祝い事のお手伝いなんかしなきゃいけないんだろう…… 私はまだ結婚できるかもわからないし、子宮の手術受けたら子ども産めなくなるかもしれないのに…… だいたい彼氏は私の体のことどう思ってるんだろう…… なんとも思ってないのかな…… 仕事が切羽詰まってるのはわかるけど、ねぎらいの言葉くらいかけれくれてもいいのに……!)
と、被害者意識が積もりに積もってバーンと爆発。
「私、心が折れちゃったから少し寝るね。」と彼氏に宣言して1時間ほど布団を被って泣いた。
その後の話し合いで、検査前に入籍することになった。
初診(婦人科クリニックA)
2016年2月
重い腰(いろんな意味で)を上げて婦人科クリニックへ。いまの家に引っ越してきたばかりで医療機関事情を知らなかったので、ネットで評判のいいところを見繕った。
予約なしで行って、1時間ほど待って診察室へ。
「まず超音波で見てみましょうね」とのことで内診台に上がる。
22歳の頃に初めて行った婦人科では血液検査からやった(エストロゲン量を測った)ので、「採血しないんだなー」と思った。
エコー検査が終わって再び診察室。
「子宮筋腫を指摘されたことはある? 1.5cmくらいのと、1cmくらいのと、2つありますね」とドクター。
「ふふっ、そうですか。」
思わず笑ってしまった。
と、いうのも、
私が婦人科受診をためらっていたのは、現在の自分の症状から察するに、もしかしたら子宮筋腫かもなあ……といたから。
「だったらやだなあ、医療費かかるし、手術とかめんどくさいなあ」という気持ちと
「子宮筋腫って中年女性の病気じゃんよ……まだギリギリ20代だよ……」という気持ちで、宣告されるのを少しでも先延ばしにしたかった。
ので、オバサン宣告をダイレクトにくらった気がして笑ってしまった。
※ただし、子宮筋腫が中年女性の病気とされていたのは少し前の話で、現在では20代にも増えているそうです。
医師「これは早めに手術したほうがいいね。大学病院に紹介状書くから、行ってきてください」
私「(えっ、手術決定なの? 良性の腫瘍だからもうちょっと待ってもいいんじゃないの?)わ、わかりました」
そして紹介状を受け取り、しょんぼりしながらクリニックを出た。
当時一緒に住んでいた彼氏が車に迎えに来てくれたので、助手席に乗って「めんどくさいことになりそうだよー」とつぶやいた。